リウマチ

リウマチ

【リウマチとは】

人の免疫系は、本来、細菌・ウイルスや腫瘍などの自己と異なる異物を認識し排除するための役割を持つのですが、自分自身の正常な細胞や組織に対してまで過剰に反応し攻撃を加えてしまうことがあります。
リウマチ、特に関節リウマチは、自己免疫が主に手足の関節を侵し、これにより関節痛、関節の変形が生じる炎症性自己免疫疾患です。しばしば血管、心臓、肺、皮膚、筋肉といった全身臓器にも障害が及ぶことがあります。

「症状」

関節リウマチの患者さんにおこるのは、関節の中でも特に「滑膜」がおかされる「滑膜炎」です。
初期には「朝のこわばり」と呼ばれる症状が出現します。「朝のこわばり」は、朝起きてから、手をにぎることが困難であり、文字通りこわばった状態です。 こわばりは、日によって違う場合があって、ひどい時で何も握れないなど症状はまちまちです。
5-10分程度のこわばりは他の病気でもありますが、1時間以上も続くこわばりでしたら、関節リウマチまたは他のリウマチ性疾患の可能性が高いとされます。 朝のこわばりのため、朝食の準備ができなくなる、シャツのボタンを留められないなど生活に支障を来すことになります。
昼頃にはたいてい改善しています。
そのうち、関節痛がおこるようになります。初期には手の指の関節、また足の指の関節がおかされ、次第に手首、肘、膝など体の中心に近い、大きな関節の痛みを感じるようになります。関節痛は、手を動かすなど活動すると強くなるため、患者さんは自然とその関節を動かさないようにする傾向があります。
このような典型的な関節炎の症状のほか、関節リウマチは慢性に続く炎症であるため、全身倦怠感や易疲労感があります。
関節炎が進行すると、関節そのものが変性していきます。関節にある滑膜細胞が増殖し、軟骨の破壊と骨にはびらんが生じます。
最終的には関節という構造物が破壊し尽くされ、骨と骨が直接接した強直という状態になります。
こうなるともはや関節を動かすことは出来ません。そのかわり、炎症も終息し痛みは感じません。
指の骨が強直すると、最終的にスワンネック変形、あるいはボタン穴変形といわれる典型的な関節リウマチ患者の手の形になります。


【リウマチと言われたら…】

関節リウマチによる関節破壊は、発症後かなりの年数が経ってから進行すると考えられていました。しかし現在ではさまざまな調査報告から、実は発症後早期に始まっていることがわかっています。そのため、関節リウマチの診断がついたら、出来るだけ早期に抗リウマチ薬(DMARDs)を用います。痛みに対する対症療法として非ステロイド系の消炎鎮痛剤(NSAIDs)などを使用します。

DMARDs
関節リウマチの病気の勢いそのものを弱めるお薬です。
そもそも関節リウマチとは原因不明の疾患で、関節が破壊されていくことを防ぐことはできず、ただただそのとき生じる痛みに対して対症療法を行うしかないと考えられていました。そのため病歴が長く、体中の関節ががちがちに強直して寝たきりになった患者さんがいても、それは不十分な医療によるものではなく、むしろ医療の限界といえるものでした。
それがDMARDsの出現によって、関節破壊の進行を遅らせることができるようになりました。
代表的なDMARDsとしてリウマトレックス、リマチル、アザルフィジン、シオゾール等があります。

ステロイド
DMARDsには疾患の進行を遅らせる効果がありますが、ステロイドにはそれはないとされていました。
ステロイドはしばらく、対症療法の薬として扱われていましたが、ステロイドは病気の進行を遅らせることはなく、副作用が強いので、維持的に投与すべきではないとされていました。しかしながら、今世紀に入って、臨床試験の結果、ステロイドもDMARDsと同様に、病気の進行を遅らせる効果を示すことが報告されています。また、DMARDsのみよりもDMARDsにステロイドを加えたほうが病気の進行をさらに遅らせるという研究結果も報告され、懐疑的意見も強いものの、ステロイドは再び注目を集めています。

抗サイトカイン療法
サイトカインは機能的にも構造的にも多種多様で、免疫や炎症などさまざまなはたらきに関与していることがわかっています。その中のひとつに、TNF(腫瘍壊死因子)と呼ばれる物質があります。当初は腫瘍を殺すはたらきへの関与のみが知られていましたが、現在では免疫のはたらき全般に広く関係するものと理解されています。このTNFが、関節リウマチの炎症や痛みの発現、さらには関節破壊の進行にまで深くかかわっているのです。
関節リウマチ患者さんの体の中ではTNFが過剰に作られています。その結果、可溶性TNFレセプターとのバランスが崩れてしまうことになります。するとTNFの働きがとめられないため、関節の炎症をひき起こし、滑膜増殖や軟骨破壊などを促進させてしまうのです。
関節リウマチの病態に大きくかかわるTNFに直接はたらきかけるのが、抗TNF療法です。TNFが細胞表面のTNFレセプターと結合するのを阻止したり、TNFそのものが作用しないようにはたらきかけるのです。関節の炎症にかかわるTNFそれ自体をターゲットとし、炎症や痛み、そして関節破壊の進行を抑制することが特徴といえます。 抗TNF療法に使われる薬は、エンブレルやレミケードがありますが、現在のところ、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)や他の抗リウマチ薬(DMARD)で十分な効果が得られなかった患者さんに処方されます。効果が高いことが期待できますが、副作用には十分注意する必要があります。